2014年12月26日金曜日

中国製の浴衣が弱い理由

最近は中国製の浴衣を使うトコロが増えてきました。
中国製の浴衣を使う理由の一つが、価格が安い事。


浴衣と言う日本人だけが着る物を中国で作る場合、高い縫製技術が必要となります。
高い縫製技術持っているのは、都市部近郊の工場です。
となると人件費も高くて、縫製工賃は日本とそう変わりません。
じゃあどこで差を出すかというと、後は生地と染め・・・



中国製 浴衣


日本の浴衣は、業務用に開発されたディクセル方式での顔料プリント。
顔料プリントは、プリントの後のベーキングで定着率が決まります

ベーキングが不十分だと色ハゲが頻繁に起こります。

昔、サウナルームのソファに浴衣の顔料がこびりついてしまい、夜中にとりに行った事があります。


不具合があると、お客様を含めてみんなが困ってしまいます。

2014年12月24日水曜日

業界の嘘:浴衣の背縫い

「背縫いがある浴衣は、背縫いからほつけてくるので背縫い無しの浴衣の方が長持ち」

業務用繊維製品を販売している営業マンが良く言っています。
ええ、これは嘘です。
嘘と言っても意識して嘘を付いているのではなく、どちらかというと”無知”のほう・・・


背縫いとは、浴衣に限らず着物でも同じですが、基本的に小巾=36cm巾の生地を使って仕立てるので、背中で二枚つなぐ形になります。
その背中のつなぎ目を「背縫い」と言います。



業務用 浴衣 背縫い比べ



背縫いが無いと言う事は、背中でつなぐ必要が無い=広巾生地を使っている、と言う事です。

小巾生地は日本独自の物。
中国製浴衣を作る場合、生地は広巾しかありません。当然背縫いが無くなります。
きっと中国製の浴衣を売りたい商社の営業マンが、「背縫いが無いから丈夫!」と言いだしたのでしょうか、そんな想像をしてしまいます。

まして見た目も、縫い目がある=弱いんじゃないか、となりやすく、今では当たり前のように「背縫い=弱い」のように言われています。


実際は、背縫いはかなり丈夫です。
背縫いからほつけてくることは、まずありません

背縫いが取れてくるのなら、他の縫い目も取れてきます。


実際に使っている、リネンサプライ、旅館、ホテルの方々が、背縫いに関して騙されているのが、とても悲しく感じます。

2014年12月19日金曜日

最強の染め「スレン染」

どんな物でも、色落ちは必ずします。
でもできるだけ色落ちしない物を、ということで作りだされたのが「スレン染」。

このスレン染は”最強の染め!”と言われるくらい、漂白剤にも強く耐久性の高い染めです。
洗濯環境の厳しい業務用の世界では、色々なものに使われています。


スレン染を一番目にするのは、業務用のタオル。

業務用カラータオル
http://item.rakuten.co.jp/ryokan-yukata/c/0000000147/


でも定番品以外で、シーツやガウン生地などにも使われます。
あと、ちょっと変わったところでは、スレンの先染めで糸を染めて作った「大和絣」





漂白剤に強いので、醤油染みに漂白剤を付けてもみ洗いすれば汚れだけ落とす、と言った事ができます。


とても凄いスレン染ですが、上記のような事ができるのは日本製のスレン染。
輸入した物ですと、1回洗ったら色が全部落ちちゃった、と言った話も聞きます。


やっぱり、どんな凄い技術も手を抜いたら駄目ということで・・・
(安いものには裏がある、みたいな)


2014年12月16日火曜日

旅館浴衣のデザイン

旅館やホテルなどで使われている業務用の浴衣には、デザインの制約があります。

と言うのも、業務用の浴衣は、不特定多数の人が袖を通し、毎日洗濯をされて使われます。
繰り返しの洗濯では、当然洗剤も使うし、場合によっては漂白剤も使います。
使われる洗濯機は、業務用のドラム式。
叩きつけるように洗うので、汚れが効率的に落ちます。

といった非常に過酷な状況で使われる浴衣です。
柄や色はどんどん落ちて行きますし、元生地からも毛羽立ちが出てきます。


それらの事を考えて、業務用の浴衣はデザインされます。



業務用 浴衣


具体的にいうと、濃い色はベタで乗せない。
乗せる場合は 、地紋を入れる。

毛羽立ちが出てきても目立たないようなデザインを考える。
また色移りした場合でも目立たない配色にする。


上記の写真は、まさに基本的な御約束から外れています。
最近は、中国製の新品で見た時に見栄えのする浴衣ばかりになってしまい、何度も使われているうちに雑巾のようになっている浴衣ばかり目にします。

浴衣の製作に携わっている者として、目さきの商売だけで作られている浴衣が増えているのは、とても嘆かわしいと感じます。



2014年12月11日木曜日

和晒し天竺木綿

和晒し加工の天竺木綿を、商品ページの掲載いたしました。

楽天ショップ:http://item.rakuten.co.jp/ryokan-yukata/c/0000000127/

Yahoo!ショッピング:http://store.shopping.yahoo.co.jp/ryokan-yukata/c5b7bcb3cc.html


 どちらで購入しても、同じ商品です。


掲載するに当たり、改めて和晒し加工について調べてみたら、この和晒しはとても良い加工であると再認識いたしました。


和晒しは時間をかけて晒すため、繊維一本一本の奥まで不純物が取り除かれます。
また時間をかけてさらすと言う事は、余分な圧力や余分な化学物質を使わなくても済むと言う事です。なので仕上がりの状態は、繊維は潰れておらず、また表面に化学物質などが付いておりません。

ガーゼや三角布など医療用には、和晒し加工の生地を使うそうです。



和晒し 天竺木綿




あとこれは個人的な感想。

和晒し加工された生地は、とても柔らかいです。
天竺木綿って、シーチングの事ですが、普段触り慣れているシーチングとは別物。
厚みや生地の風合いは確かにシーチングですが、やさしい肌触りは和晒しならでは。

ええ、これは本当にお薦めです。
これでシーツを作ったら、たぶんたまらないでしょう。



2014年12月5日金曜日

晒工場の見学

弊社で取り扱っている「和晒」の晒し工場を見てきました。


晒しとは、キバタ生地を漂白して白くする事。
あまり知られていませんが、無漂白のキバタ生地は雑菌がいっぱいでとても”臭い”物です。

そのキバタ生地を漂白し、清潔に見た目も良くするのが晒しです。

最近、「無漂白の晒し生地はありませんか?」と聞かれる事がありますが、こちらとしては臭いもきついし(洗ってもちっとやそっとじゃ取れない)、汚いし、なんで欲しがるんだろうと思っていました・・・







工場なので、やはり作業ロットはかなりの量です。
写真の量で、うーん500反か600反くらいあるのでしょうか?

これを小分けに切って、袋詰をして販売しています。


楽天ショップ 和晒し生地
http://item.rakuten.co.jp/ryokan-yukata/sa-j06-5/


 販売している商品の出来上がり工程を見られるのは、とても嬉しい体験です。
間違いない製造工程を見られて、自信をもって販売していけます。



2014年12月2日火曜日

ウール生地

見た目だけで判断されている事って結構あります。

綿入れ半天、ウール半天もその一つです。
見た目でいうと綿入れ半天の方が暖かいように思われます。
でも実際ウール半天でも、それほど変わりません。


「ウールは風があたると暖かい。だから北欧ではウール素材の防寒着が多い。」
先日、話をした毛織物一筋の会社の社長さんの話です。



業務用 茶羽織 半天


楽天ショップ 茶羽織・陣羽織
http://item.rakuten.co.jp/ryokan-yukata/c/0000000120/



そういえば、普段着でも毛糸のセーターを着ていて、その暖かさを知っているはずでした。

確かに綿入れの物は布団の延長で、見た目的にも温かい物です。
ですがそれ以上に、「売りやすい物」として販売されているように感じます。

綿入れもウールもそれぞれ特徴があり、それぞれ良い物ですが、売りやすさ、売りにくさだけで流通量が決まってしまうトコロに何か釈然としない物を感じます。