2015年6月29日月曜日

第15回 ぬくもり市

遠州地方の伝統的な木綿の織物、遠州綿紬の展示即売会「ぬくもり市」が、6/27、28に行われました。
足を運んでくださいました皆さまに、厚く感謝をいたします。


今回、出店者数は過去最大の25社。
今まで参加してきた方々に加え、着物の絵付けを行う方、注染手ぬぐい、つまみ細工など様々な商品がそろいました。

今まで以上に多くの方々が手をかけてくださり、本当にありがたく思います。


第15回ぬくもり市 遠州綿紬


僕はと言うと、遠州縞プロジェクトのメンバーでもあり、毎回ワークショップの手伝いをしております。

今回も「わたくり体験」を行いました。
小さな子どもから、お年寄りまで、たくさんの方々に体験していただきました。

綿の塊から種が取りだされて行く様子に、実際にやってみた方ははまってしまった感じ。
小さい子供は、中々次に譲ろうとせず、空いているのをみると何度も繰り返し綿くりをしていました。


伝統的な織物としてだけでなく、繊維産業の盛んな地域として自覚していただけたと思います。


次のぬくもり市は「秋」に開催予定です。

2015年6月25日木曜日

作務衣と甚平の違い

作務衣と甚平って同じ物?ではありません。

作務衣は僧侶が雑事(作務)をするときに着るものです。そのため袖口と裾は紐などで締まるようになっています。また袖は長袖、ズボンも足首まであります。
年中着て作業ができるようになっています。


甚平は夏に着る、おくつろ着です。
袖は短く、ズボンの裾丈も短くなっています。また身ごろと袖が網や紐で付けられている物もあります。

っと、色々書きましたが、極々簡単にぶったぎって言うと、

「作務衣は長袖長ズボン、甚平は半そで半ズボン」




作務衣と甚平の違い

 最近、作務衣を使う旅館が増えてきました。
ですが、業務用として使うには耐久性が必要です。
また、不特定多数の人が着るのですから、ある程度ゆったりとしないといけません。

そのため、仕様的には作務衣と甚平の中間くらいになっています。

生地も綿では無く、TCの混紡生地を使います。
他にも、細かな部品や仕様も業務用の物を使います。


業務用の作務衣をオリジナルで作りたい方は、一度弊社までご連絡くださいませ。





2015年6月23日火曜日

中国製の浴衣

コレの写真を出すのか・・・と、旅館やホテル、業務用の繊維業界の会社の人に怒られそうな写真。と言っても商品カタログの写真なのですが。

何かと言うと、「風香」の新しいカタログです。

色々な会社のHPとかで、「弊社の浴衣は・・・」みたいに言っている物の種明かしだったりするので、怒られるのかなぁ、と思いました。



中国製 浴衣 旅館


昔の旅館やホテルでは、「他には無い自分の所だけの」 にこだわって色々な物を作りました。
けど、新しい物を作るのは大変です。
中々そこまで気を回せる人も無く、今ではカタログから選んで「コレを100枚」と注文するようになりました。

価格ではありません、手軽さです。
 時代のニーズが、手軽さに変わったという事です。


でも日本中どこに行っても同じ浴衣となりました。
手軽さを求めた旅館には、手軽さを求める人が集まって・・・



個人的な好みですが・・・

2015年6月18日木曜日

第15回ぬくもり市 告知

江戸時代から続く伝統の綿織物「遠州縞」。
その遠州縞で作られた商品を一同に展示販売するイベント「ぬくもり市」が、開催されます。


第15回ぬくもり市

 鴨江アートセンター
  6/27、28
  10:00~16:00(28日は15時に終了)


遠州綿紬=遠州縞、昔は縞柄の木綿生地を○○縞と呼んでいました。


ぬくもり市 遠州綿紬


弊社も浜松の繊維産業の振興を願う立場として、スタッフとして参加します。
主にワークショップのお手伝いとなりますが。


遠州綿紬は衣類としてだけでなく、家具やお菓子など色々な分野で使われるようになりました。
たくさんの種類があり、様々な商品を一か所で見る機会はなかなかありません。
この機会にぜひ、足をお運び下さい。





2015年6月11日木曜日

繊維製品ができるまで

浜松の繊維産業は分業化が進んでいるのが特徴です。
分業化が進んでいるため、低価格で高品質の物が作れます。

ですが分業化が進んでいるために、製品が仕上がるまでの作業工程がわかり難い点もあります。


例えば注染浴衣

・糸の手配、糸の糊づけ、糸巻きに巻く、織る、余分なゴミをおとして巾を一定にする、
・注染のデザインを決める、型を作る、注染で染める、巾を一定にして1反ずつ巻く、
・着る人の採寸をする、裁断、縫製

これだけ工程がある中で、その中の一部分の工程だけ取りだしても仕方ありません。
全ての工程が必要な工程ですから。


注染 浴衣



現在、糸の99%以上は輸入品。
織り工場もどんどん少なくなっていて、すでに国内では織れなくなった白生地もあります。
余分なゴミをおとして巾を一定にする工場も、浜松では1軒。他の地域では無くなったところもあります。
また、注染工場の減少と言ったら・・・
裁断、縫製をする人の高齢化も問題です。


色々と問題が山積みの繊維業界。
もっともっと多くの人に知ってもらうため、声を上げて行きたいと思います。




2015年6月9日火曜日

旅館浴衣のプリント

旅館やホテルなどで使われている業務用の浴衣は、顔料プリントです。

プリントというと染めよりも一段下に見られがちですが、業務用に使われる浴衣にはとても合っています。というのも業務用の浴衣は不特定多数の人が着て、毎日洗濯されて使われます。
顔料プリントでしたら、洗濯の際に漂白剤を入れても色落ちや色変わりしません。

浜松市内で作られる業務用の浴衣は、ディクセル方式でのプリントです。
ディクセル方式とは、業務用の浴衣専用に開発された、耐久性の高いプリントです。


ということで、プリントは円形の型が回転して顔料が乗っていきます。


旅館 ホテル 業務用浴衣 プリント


「オリジナルの浴衣を作りたいんですが、デザインはどうすればよいのでしょうか?」

とお問い合わせをいただきますが、デザインは円筒形を開いた形となります。
で、上下がきちんと合わさるようにします。
でないと円筒形にならないから。

型は1色につき1型必要になります。
写真を見てわかる通り、仕組み的に1型で多色摺りはできません。
「上手い事やってくれ」と言われても出来ない物はできません。


ディクセル方式以外のプリントで業務用の浴衣を作った場合、あっという間に色が落ちてしまいます。
以前普通プリントで作った旅館浴衣を見て、そのあまりのひどさに絶句しました。
せっかく旅館に泊まって雑巾みたいな浴衣を着せられるなんて、まっぴらごめんです。


新品の時のきれいさだけでなく、長年使う事を前提として業務用浴衣は作られるべき、と感じております。

2015年6月6日土曜日

高級な生地は厚い?

何度か書いていますが・・・

浴衣の反物を触って、「これは厚くて良い生地を使っているね。」・・・
いえいえ、厚いから良いってちょっと違うんじゃないかなぁ。

厚い生地が良いならジーンズや帆布は高級生地になってしまいます。

第一浴衣って暑い夏に着る物。
どうやって”涼”をとろうかと考えて、風通しの良い薄手の生地を織ってきたのに、厚い=良いなんて言われてしまうと困ってしまいます。


本仕立て 浴衣 日本製


厚い=良い生地との言葉を聞くのは、旅館・ホテル関係の方が多かったりしますが、薄い=耐久性が無い、という意味で良し悪しを言うのだったらわかります。
単純に、「これは薄いからもっと高級な浴衣を持ってきて」と言われてしまうと、困ってしまいます。


この判断の根拠はいったいどこから来たのでしょうか?
意外と根深いものがあり、いつも戸惑ってしまいます。

2015年6月3日水曜日

浴衣のデザインについて

旅館浴衣、一般用の本仕立ての浴衣に関わらず、浴衣の柄についてちょっと図を作ってみました。

「オリジナルで作りたい!」と相談を受け、「この柄で!」とお客様から出されたデザインを見ると、大体上下の向きがあります。

上下の向きがあるとどうなるか・・・↓



オリジナル浴衣 製作


浴衣はシャツのように前と後ろを別々に裁断し、肩のところでつなぎ合わせるような作りはしていません。
前も後ろも繋がっています。


ということで、浴衣の柄は上下の向きの無いデザインに作ります。